組織の個人に対する圧倒的優位性を未だに信じている奴ら


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)


ちょっと前に2冊まとめて買っていた元富士通の中の人のベストセラー書籍を、土日でいっきに読んだ。


普段、職場で話をしていても全然意思疎通ができていない気がする人たちが結構いて、それはコミュニケーション能力がどうのこうのという話じゃなくて、なんか根本的に仕事に対する価値観が違うなあと感じていて、それは何でだろうと日頃から考えていたんだけど、本書で「昭和的価値観」という言葉で的確に表現されていて、それは組織の個人に対する圧倒的優位性を未だに信じている奴らなんだろうなと認識できた。


具体的にいうと、
待遇やポジション、職責、担当業務について、交渉の場が存在せず、いつの間にか決まっている。評価について基準がはっきりしない。評価過程がオープンでない。説明を求めても回答がない。トップダウンで方針が決まり、作業が発生する。若手社員は無条件でそれに従い作業する。こういったことを当たり前のこととして疑問にすら感じたことのない奴らのことだ。それは何も管理職世代の人間に限った話でなく、同年代や後輩にもこういう価値観を持った奴がかなりの数いる(で、そういう奴に限って上司の評価が高かったりする)。


今の職場は、管理職レベルでの配置転換がよくあって営業から開発部門へ移ってくる部長とか普通にいるんだけど、まあ、なんていうか素人なんだよね。実作業の経験が全くないから、方針が抽象的で何をさせたいのかよく分からないし、現実的でないことばかり言っている。で、当然のことながらそれに従わない若手が出てくる。とりあえず管理職は蚊帳の外に置いておき、自分たちで話しあって計画を立てて実行する。若手側の視点に立つとなんで素人が自分たちの作業方針を決めるのか理解できないし、管理職はなんで若手が従わないのか理解できない。若手と管理職の間に完全にギャップができている。このギャップが自分でも社内全体でもものすごくストレスになっている。


入社数年で退職する若手が結構な数いて、役員や人事部長は「なぜ若手が辞めるのか分からない」とか「優秀な人材が集まらない」とか言っている。それ見てて、いや当たり前じゃんって思うんだけど、奴ら全く理解できていない。


自分が職場で感じているストレスを解消するには、組織の個人に対する圧倒的優位性が既に存在しないことが当たり前のこととして社内で認知されるようにならなきゃいけないよなあ。とりあえず年代の近い人間から変えてゆこう。


もうひとつ本書で気になったところは、新人の頃は飲みの席の話題が「仕事内容」なのが、長く働いていると「人事」の話題ばかりになってしまうという話。あまりにもそのとおりなのでドキッとさせられた。これから飲みの席で人事の話をするのを止める。だって僕らは出世するためにIT業界に入った訳じゃないんだから。